サムシャカスキーとヒトリゴト

|アンダーソンが好きそう


 『ムーンライズ・キングダム』を見ていた。鬼才ウェス・アンダーソンの映画は、予告編では到底説明できないストーリーとその異世界感溢れる映像美でまんまと世の女子たちを夢の国へいざなう。タネも仕掛けもない。ただ彼が気持ちいいと思うものを見せられているだけなのだ。
 「妄想行きすぎちゃうか?(関西風)」とかうかつに突っ込み入れたら白い目で見られるから気をつけよう。


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"でもあの時何かが起きたんだ。あれは避けようがなかった。
  初めて出会った時に、ふたりの中で何かが起きた。"



 愛する彼女と駆け落ち(という名のピクニック)したシャムサカスキーのセリフ。ウェスアンダーソンはこういう入り組んだロマンスが好きである。
 『グランド・ブタペストホテル』も『ザ・ロイヤルテネンバウムス』もそう。どれも人生という名の愛の形を描いているにすぎない。2時間かけて彼が思い描く「愛」を見せられていると、そのほとんどが恋愛がテーマになっていることに気づきにくい。私も全然わかんなかった。



|模索に捜索に忙しい


 主人公のサムとその彼女スージーは家族や周りの大人に受け入れられてない、変わり者だと思われてる。そのふたりが恋をして‥。大人びているからこそ本当に可愛いふたり。子どもっぽくなりきれない苦しさの中で、自分らしく生きるために日常から脱出したいと考える。
 上のセリフは日本語吹き替えなんだけど、ぼーっと観てると突き刺さる言葉がある。12歳の子のセリフであるが、「それが何かは分からないけれど僕には大事なことだと思えた」感がいい。

 私たちは世間と折り合いがつかないと感じると自分の性質をうらめしく思ったり社会に反抗したくなったりするが、彼らはその中で愛を見つけて自分らしく生きる道を選ぶ。その行動力と、自分が行きてる世界にちょっと冷めてる感じが好き。控え室での出会いも、海辺でのBも、場所を選ばない結婚式も彼らの世界のリアルなのだ。



ー2015/05/13 21:32


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